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――え……?
今、なんて、言ったの?
『大学卒業を目前に控えた一人息子』
その言葉を脳内で反芻して、
背筋に、戦慄が走った。
――ま、まさか。
まさか、この話って。
「あの、その息子さんって……」
怖くて、最後まで言葉が続かない。
「叔父の異母弟の名前は、『榊悟朗』、その息子の名は、『東悟』という。ちょうど、9年前の出来事だ」
ゆっくりと、
彼の口角が、愉悦の形に吊り上がるのを、
私は、身動きもできずに、ただ、見つめていた。
――15話へ続く――
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