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部屋の左手奥がキッチンスペースと、それに付随するダイニングスペース。
十人は楽に食事がとれそうなダイニング・テーブルには、ステーキをメインにした豪華な食事が用意されていた。
銘柄はよくわからないけど、高そうなワインセットも。
まだ、料理から美味しそうな湯気が上がっているところを見ると、客が到着するタイミングを見計らって、用意されたものだろう。
食べ物を粗末にすると、幼いころによく田舎の母に、『もったいないオバケがでるわよ~』と言われたものだけど、
すごーく気がひけるけど、今は、ごめんなさい、だ。
「どうぞ、座って」
食事が用意されているダイニングスペースではなく、部屋の中央に配置された応接セットの方に座るように促され、小さく息を吸い込む。
私が、やるべきこと。
まずは一つ目。
小さく息を吐き出し、私は笑顔を作って、口を開く。
「すみません。なんだか緊張してしまって。おトイレ、お借りしてもいいですか?」
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