第二章

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冷え込みが厳しいこの冬にしては、珍しく寒気がおさまり、ポカポカ陽気とはいえないまでも、陽射しがある快晴の土曜日のこと。 週末になると天気が悪かったのだが、久しぶりの爽やかな週末であった。 中津川玲子と岩村さとしは、両国駅から首都高速沿い、蔵前橋の近く緑道公園にいた。 時刻は午前11時。 いい天気だが、川沿いはさすがに風が冷たい。 玲子は、黒のロングスカートにワンピース、黒のロングブーツに黒のカシミアコート、そして頭には黒のロシア帽を被っている。 まるで。。 「メーテルみたいって言いたいんでしょ。」 玲子は笑った。 「その通りよ。アタシ、最近銀河鉄道999にはまってるの。」 それでなくても、人目を魅く美貌の持ち主だ。 それがこの格好とくれば、すれ違う人は必ず振り返る。 目立つなどというものではない。 「目立ち・・過ぎはしませんか・・。」 岩村はおそるおそる言った。 この公園に子供と散歩にくる女???吉良義人の昔の恋人ーーー大石莉子をここで待ち受けようとしているのだが、この玲子のいでたちでは、すぐに相手にバレて警戒されてしまうのではあるまいか。 「それが何か悪い?」 「いや・・相手に警戒されないかと・・。」 「馬鹿ね。」 玲子は鼻で笑った。 「警戒されるもなにも、アタシは最初から、こっそり盗み見るなんて格好悪い真似する気はないわ。」 「・・どうされるつもりなのですか・・?」 「自然体よ。」 「自然体?」 「話しかけるタイミングがあれば話しかけるし、そうじゃなきゃ、普通に様子を見てるわ。」 玲子はそういって、ベンチに腰かけ、長い足を組む。 玲子は座ると、普通の公園が映画の1シーンのようになる。 「華」という言葉が玲子にはぴったりである。 「あなたも座ったら。」 玲子に促されて岩村もベンチに腰をかける。image=488440687.jpg
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