3人が本棚に入れています
本棚に追加
「だから富って言ったでしょ? それに富がある……つまり金持ちだった場合、どんな不細工な男でも村一番の美女を嫁に迎える事ができたわけだし」
「なるほど……とどのつまり、資本主義のお犬様万歳ってことだね。わんわんわん!なんちゃって」
と、わざとらしく犬の真似をした信玄に信長が不愉快そうに眼を細める。
「けどね信玄。この世界一美しい信長様はお金じゃ買えないわよ?」
そう言って、ワクックスで感じよく纏まれた髪を揺らしその長い足を綺麗に組んだ信長サマに思わず心の中で吹き出してしまった。まったくいい年して何言ってんだかこの第六天魔王は。
「世界一美しい割にこの店じゃNo.2止まりだけどね」
「……あんたはいつも一言余計なのよ甲斐のバカ虎」
整えられた眉を寄せ、怪訝そうに顔を歪めた信長に思わず口元が緩む。
「ほーら当店のNo.1は余裕の笑みだよ?」
「さすがは傾国の美姫、政宗公。相変わらず綺麗すぎて腹立つわ」
傾国の美姫なんて嬉しいことを言ってくれる同僚だが、綺麗というならここにいる二人も十分すぎるほど綺麗、だ。
とはいえ褒められたことに変わりはないので、お礼の気持ちを込めつつ自慢の長い黒髪を耳にかける。そして、美しい二人の戦国武将に目線を合わせた。
「私が欲しいのは富でも名声でも権力でもなく、一挿しの野花よ」
要はモノより気持ちと言うことだ。
大切なものは、お金で買える物なんかより愛してくれるという気持ち。世間一般ではそれが何よりも大切なことだと言われている。
最初のコメントを投稿しよう!