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「の……ばな……!」
私の言葉に口元をネイルのきまった手で抑えて笑う信玄に、呆れてため息をつく信長サマ。この傾国政宗がタダで笑顔を見せたってのに酷い反応だ。
「でも実際?」
「お金が一番です」
気だるげに煙草に火をつけた信長公は私の答えに、口から白い煙を吐き出して楽しそうに真っ赤な色の差す唇を揺らした。
そりゃあこんな仕事してるんだし、気持ちよりお金に決まってますよね。
「だってお金は私を裏切らないし、宝石は私を引き立ててくれるもの。口を開けば安っぽい言葉で口説いてくる男共とは大違い」
そうだ。安っぽい言葉で口説いたあげく、体をお金で買おうとしてくる下衆な生き物なんかより、物言わぬ紙幣の方が何万倍も好感が持てる。
「さすが処女は言う事が違うわね」
「はあ!? 政宗公って処女だったの!?」
「私の純潔は神の物よ……」
私がふざけて両手を胸の前で組むと、信玄は驚いたと言わんばかりに口を明けて素早く十字を切った。ったく信玄ってば本当に可愛いんだから。
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