第1章

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「私昔、ひい爺さんに連れられて---…って  思ってたんだよね。  実際そう歌ってたっていうか」 「へえ、  こういう歌を歌ってたって言うだけで歳がばれるよね」 「ふうんだ、別に初めからばれてるし、  何年の付き合いだって思ってるのよ」 「さあ、いつからだっけ?  生まれてすぐだから、  よんじゅう……?」 「ああっもういいよ、  それ以上言わないで。  お酒がまずくなる」 「はは、少なくても、この辺に建つビルより年上だってことさ」 「あ、でもそこにあるドックヤードはすっごい古いんでしょ、 天然記念物とかって聞いてるよ?」 「ドックヤードって犬の庭?」 「まさかあ。それって人間ドックを人間犬?  っていうのと同じ間違い」 「ああ、そのドックか。」 「そ、昔の船のドックヤード 昔はあそこでメンテナンスしてたんでしょうね」 「それも今や、流行りの、プロジェクションマッピング会場とはね、  昔の人が知ったら驚くな。」 目の前にあるドックヤードでは、 もうすぐ上映されるプロジェクションマッピングを 見ようと集まっていた。 「この辺すっかり変わったな。  ランドマークタワーなんて作ってる最中だったもんな。  観覧車と日本丸は相変わらずだけど、」 「そうね、そこに見える日本丸に乗ってた人たちは、  ここが、こんな風にビルの立ち並ぶようになるとは、  思いもしなかったわねきっと」 image=488395840.jpg
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