第1章

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きゃっ 海風がブァッと テーブルの上のオーダーシートを空に舞いあげた。 「ヤダ、どうしよう」 「大丈夫だろう?飛ばされちゃっても、  店の人はだしたものくらい覚えてるさ」 「そうね。」 「風が強くなってきたな、場所変えるか?」 「そうね、もうお開きにしましょ?」 「ねえ、今日はなんで誘ったの?」 「え?今頃それを聞く?  まさか覚えてないなんて思わなかったな、  ココに呼び出したことで気付いてほしかったんだけどな」 「気づく?」 「20年前の今日、ここで君にプロポーズをしただろ?」 「そう……だったっけ?」 「そうだったんだよ。  そんでふられたの」 「だってあのときは!」 「そうだよな、転勤について来いっていったら、  仕事はやめられないってな。  結局、俺は仕事に負けたわけだよね。」
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