第1章

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ひらり…… 目の前に落ちてきた白い紙 さっき飛んで行ったオーダーシート 「戻ってきた」 私たちは顔を見合わせて、 笑った。 フフ…… ハハ…… 「会計してもらわなきゃね」 「そうだな」 私たちはカフェの店内に入って会計を済ませた どちらともなく手をつなぎ、 駅までの長い連絡通路を、 歩いた。 「こっちにいつまでいるの?」 「さあな、明日香の返事がもらえ次第かな?」 「ずるいな」 「まじめな話、  会社だって辞める覚悟だから」 「どんな覚悟よ」 「お前がまた会社選ぶっていうんなら、  俺が会社辞めてお前のそばにいるってこと」 「馬鹿なこと言わないで、」 「これでも結構稼いだからね、  やめても、贅沢しなきゃ暮らせるぜ?」 「 ……あのね  私ね、会社なんてとっくに辞めてる。  今は、派遣でフリーで働いてるの」 「そうなのか?」 「でもね、  だからじゃないの。  だからじゃないけど、  私ね、  あなたと一緒にいたいって、  今そう思ってるの  ずっと後悔してたのも、  洋成以上だと思う」 「ほんとか?」 「うん」 「やった。  これ、無駄じゃなかったな」
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