第1章

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「これ、プレゼントなんだ。  サイズ、変わってないよな?」 洋成がずっと手に持ってた紙袋、 私へのプレゼントだったんだ。 「あそこのベンチ座ろうか?」 スロウプ脇のベンチへ座ると、 さっき渡された紙袋から、 箱を取り出す。 包み紙の下から現れたのは、 「赤い靴……」 「べたかなって思ったけど、  ここで会うって決めた時、  絶対これにしようって思ったわけ。  だけど、  ひい爺さんはないよなあ」 「あはは、焦った?」 「焦った、  出せなくなった」 「ごめんね。空気読めない女で」 「はは、そこが気に入ってるんだからしょうがないよ。  履いてみろよ。」 「うん」 赤い靴はみなとみらいの夜景が映り込んで、 まるで魔法の靴みたいだった。
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