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大神さんが口ごもった理由が、何となくわかる気がした。
「お前の家は南区だから、あんまり感じねえかもしれねえ、けど。北区の錆は明らかに、増えてる、ような気がするんだ。もしこれが、気のせいじゃなかったら……」
街の錆が増えている。海田と錆に深い関係があるのなら、それは、
「次の災いが、近付いてるってこと?」
ぴくりと隣で、大神さんの肩が跳ねるのがわかった。
「……人柱を立てれば、二十年か三十年は保つはずなんだ。こんなに早く次が来るはずはねえ。気のせいだとは、思うんだけどよ……」
いつも何事にも物怖じしない大神さんの身体が、この時ばかりはちゃんともとのサイズに見えた。見た目がスケバンだし果てしなく頼りになるから普段感じないだけで、もともと小柄な方なのだ。
「でもよ、今回の件だって、そうだろ?」
「え? あ……」
言われて、今さらだけど僕も気が付いた。
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