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「海田に飲まれなかったってだけで、海田のマウラに当てられた奴が、早くも一人、出たってことだろ? まあ、概生研の職員だし、何かしら海田にちょっかいを出した代償だとは、思うけどよ……」
もし本当に、街に錆が広がっているのなら……。
というか十中八九間違いじゃないだろうけど、それならば、その元凶は他ならぬ僕なのだ。
未だ網膜に焼き付いて離れない、膿だらけの裸体を思い出す。下着一枚で汚物まみれの床に転がされて、僕が知る限り一カ月もそのままだったのだ。
助けを呼ぼうにも猿ぐつわが噛まされて、声を出す事もできない。逃げ出そうにも全身を冷たい鎖で鬱血するほどきつく戒められている。アイマスクで視界も塞がれて、嗅覚は異臭に苛まれ、そうして五感という五感を全て苦痛に晒されたまま、全身が腐ったトマトみたいにぐちゃぐちゃに爛れるまでじっとしていることしかできなかったのだ。
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