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いくら御霊虫を送り込んでも、心臓の位置に巣食った黄泉霊が次々に御霊虫を食ってしまう。大神さんの指示で黄泉霊の方を取り除いてみようと悪戦苦闘してみたんだけど、
「駄目だな、こりゃあ……」
ついに大神さんも匙(さじ)を投げた。
御影人は自分と相性の良いマウラにしか通力を込めることができない。大神さんによれば御霊虫と黄泉霊は非常に近い種類のマウラらしいんだけど、残念ながら僕に黄泉霊を操ることはできなかった。
黄泉霊が取り除けない以上、母親の方はもう助からない。
庭にあったホースで大神さんが二人の身体を洗浄し、僕は二人を戒(いまし)めていた鎖で家主の死体を縛り上げた。あとで家主の方も、この前の子犬と同じ要領で生き返らせるためだ。
「さて。一通り、終わったな……」
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