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「だいたいまだ停学って決まった訳じゃ」
ユウキが言いかけた時だった。
燈路がシーちゃん先生に向かってユウキが飲んでいたメロンサイダーの缶を投げつけた。
もちろん、中身はまだ半分ほど残っている。
先ほども言ったが一年生四人はシーちゃん先生が何者なのか知らない。
彼女の纏っているスーツがいくらするのかも。
シーちゃん先生が節約に節約を重ねて手にいれたものだということも。
「お前ら、何の、つもりだ?」
頭からメロンサイダーをかぶる、水も滴る良い女。
滲みでる殺気が、怖い。
ユウキは黙って向きを変えて逃げようとした。それが失敗だった。
一歩踏み出せば、あとはいつものごとく逃げるだけ。だが、相手の方が何十枚も上手だった。
ユウキの足元に突然魔方陣が広がる。
緑色に輝くそれから、頑丈そうな蔦が飛びだしユウキの足を絡めとる。
「うわっ」
ビタンと前のめりに転ぶユウキ。
「マジかよ…」
顔を上げると、シーちゃん先生が立っている。
微笑を浮かべているのが、かえって怖い。
「さーて、職員室に来てもらおうか…」
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