入学式とナンパの関係性

9/10
前へ
/70ページ
次へ
「だいたいまだ停学って決まった訳じゃ」 ユウキが言いかけた時だった。 燈路がシーちゃん先生に向かってユウキが飲んでいたメロンサイダーの缶を投げつけた。 もちろん、中身はまだ半分ほど残っている。 先ほども言ったが一年生四人はシーちゃん先生が何者なのか知らない。 彼女の纏っているスーツがいくらするのかも。 シーちゃん先生が節約に節約を重ねて手にいれたものだということも。 「お前ら、何の、つもりだ?」 頭からメロンサイダーをかぶる、水も滴る良い女。 滲みでる殺気が、怖い。 ユウキは黙って向きを変えて逃げようとした。それが失敗だった。 一歩踏み出せば、あとはいつものごとく逃げるだけ。だが、相手の方が何十枚も上手だった。 ユウキの足元に突然魔方陣が広がる。 緑色に輝くそれから、頑丈そうな蔦が飛びだしユウキの足を絡めとる。 「うわっ」 ビタンと前のめりに転ぶユウキ。 「マジかよ…」 顔を上げると、シーちゃん先生が立っている。 微笑を浮かべているのが、かえって怖い。 「さーて、職員室に来てもらおうか…」
/70ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加