第18話 【背徳の愛 ~ 正臣Side 3 ~】

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「ありがとうございました!」 商品を詰め終わった彼女は、満面の笑みを浮かべて俺に袋を差し出した。 一番上で少し顔を覗かせる食パンを見つめ、口を噤む。 何をやってるんだ俺は… これじゃ、ここに来た意味が無い。 彼女に近づきたかった……でも、このまま帰ったら近づくばかりか嫌われて終わりじゃ無いかっ。 「あのぉ…先生?」 黙り込んだままの俺を見て、彼女が首を傾げる。 「今日、安藤さん誕生日なの?」 息を吸い込んで、真っ直ぐ彼女を見つめる。 彼女は少しだけ肩を引き、目を大きく見開いた。 「えっ?はい、そうですけど…」 何故知っているのか?と聞かれる前に、「さっき、もう一人の店員さんとそんな会話してたよね」と、さり気無く先手を打った。 ビールが嗜好品の一つだと言う情報は、葵ちゃんと彼女がステーションで話していたのを偶然耳にして知っている。 「ビール、好き?」 「は、はい?…えっと、好きですけど…」 予想通りの反応。 「じゃあ、これあげる」 俺はカウンターにビールを二本置いて、 「ささやかなプレゼント」 さり気なく笑みを浮かべる。 感じたことの無い精神の高揚。 置かれたビールを見つめ、あからさまに戸惑う彼女が愛しく思える。 俺は自覚していた以上に、かなりイカれてしまっているようだ。 「色気がなくて悪いけど。誕生日おめでとう」 目尻を下げて、俺が見せられる精一杯の笑顔を彼女に贈った。
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