第18話 【背徳の愛 ~ 正臣Side 3 ~】

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それは、単なる俺の自惚れなのか? 「じゃあ、ちゃんとこっち見て話してよ」 「なっ、何言ってるんですかっ!」 彼女は声を裏返し、顔を真っ赤にして狼狽える。 「…声、大きいとあっちに居るナースに聞こえちゃうよ?」 「………」 やはり、俺の自惚れなどでは無い。戸惑いの中で見せる彼女の表情が、そう教えてくれる。 耳まで赤く染めて… 彼女の素直な反応が、俺を欲情させる。もっと俺の存在を植え付けて、もっと困惑させてやりたくなる。 「手が止まってるよ。急ぐんでしょ?その書類」 「ぬわっ。そうですとも!急いでますとも!…ったく、誰のせいだと思って…」 「…ん?誰のせい?」 「いいえ、何でも無いですっ!」 彼女はそう言い捨てて、プイッと俺から視線を外した。 何て可愛い顔すんだよ……。おいっ、無意識に俺の顔まで緩むだろっ。 俺は彼女の横顔から電子カルテに目を移すと、喉の奥から込み上げてくる笑いを必死に堪えた。 「あ~っ、丁度いい所にいたいた。高瀬先生と安藤さんっ」 背後から聞こえてきたハイテンションな声。 名を呼ばれた俺と彼女はキーボードを打ち鳴らす手を止めて、目を見開いて同時に後ろを振り返った。 「遅くなってごめんね~。これ、来週13日の招待状」 俺達に声を掛けながら近づいてくるのは葵ちゃん。夜勤明けで帰宅するところなのだろう。肩には大きな手提げかばんが掛けられている。 「来週13日?……何だっけ」 俺は目の前に差し出された一枚の紙を受け取り、それに目を落とす。 「やだな~。病棟の忘年会だって言ったじゃない。今回は安藤さんも参加してくれるのよ。ねっ、安藤さんっ」 俺と同じく招待状を渡され目をパチクリさせる彼女を見て、葵ちゃんは満面の笑みを浮かべ嬉しそうに声を弾ませた。
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