第18話 【背徳の愛 ~ 正臣Side 3 ~】

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欲しいモノが自由? 【自ら作り上げた呪縛】から解放される…自由……。 彼女が口にした言葉を繰り返したその瞬間、精密機械に囲まれベッドに横たわる雪菜の姿が瞼に浮かんだ。 ドクンッと、衝撃を受けた心臓が大きな波を打つ。 まるで俺自身が覗き込まれているような気持ちになって、焦燥感が迫り来る。 「…どういう意味だ?」 不快な血流の流れを感じながら、俺は彼女を見つめ眉を歪める。 「要するに、私にはお金が全てって事です!」 「金があれば、自由にも幸せにもなれると?」 「そうです。いけませんか?欲しいだけのお金が手に入るまで、恋愛も、人間関係も私にとっては煩わしいものでしかない!」 彼女は何の躊躇いも無く言い切って、口元に皮肉めいた笑みを貼り付けた。 金があれば幸せ? 本気で言っているのか? 何なんだ... その、勝ち気で淀みの無い表情は。 これは想像以上に…… 「金が全て…それも一つの価値観。悪くない。だけど…おまえ、女として終わってるな」 ……手強くて、面白い女だ。 「何なのあんた!失礼極まりないっ。普段は優等生ぶっちゃって、中身は最低!」 俺の挑発に乗った彼女は、目をつり上げて罵声を飛ばし始めた。 恋愛が煩わしいものだと、金が全てだという割に、俺の言葉一つで目くじら立てて怒り狂うか。 ――要するに、女として捻くれた思考をしていても、内心では「女」を捨てたくない訳だ。 「その甘いマスクと言葉で、何人の女をたぶらかしてんの?」 何の話だ? 俺はおまえにしか興味は無い。 「からかって遊びたいなら他でやってって言ったじゃない!人の人生にズカズカと土足で踏み入れないでよ!」 からかって遊ぶ? 悪いが、俺はそんなくだらん遊びをしてるほど暇じゃない。 だから、何度も言ってるだろっ 「俺は、興味があるから近づきたくて…」 「だからっ!それが迷惑なの!…そんなに知りたいなら教えてあげる。それで気が済むんでしょ?」 言い終えずにまだ宙を浮かんでいる俺の言葉を叩き落し、彼女は薄ら笑いを浮かべる。 「……」 眉間に深いしわを刻み、彼女の言葉を待つ俺。 二人の間に、氷が張ったような静けさが漂う。 緊迫した二人の呼吸が重なり合ったと感じた瞬間、彼女は信じ難い過去を打ち明け始めた。
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