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駄目だ……
何を話していいのか分からない。
「確か、君は派遣の子じゃ無かったよね…」
焦る気持ちの中、とりあえず当たり障りが無いだろうと選択した言葉を放った。
すると、予想外にも彼女は更に険しい目で俺を見た。
なっ、何だ!?
俺は、無意識のうちに火に油を注いでしまったのか!?
何が悪いんだ?
その怪訝顔の意味がさっぱり解らない……
「私、貧乏なんでバイトしないと生活できないんです」
一瞬、顔に陰りを見せたかと思いきや、彼女はそう言ってにっこりと笑う。
貧乏だからバイトしないと生活ができない?
今のは冗談なのか?
…でも、待てよ。
さっきも言ってたな……
金が恋人だって――――。
『それは本当なのか?』と聞きたい。『どうしてそんなに金に困っているんだ?』と聞きたい。
でも、俺の好奇心が彼女をまた怒らせてしまうかも知れない。
やっと話し掛けられたと言うのに、この時点で彼女に嫌われるなんて冗談じゃない!
「…大変だね。まぁ、頑張って」
それ以上は何も言えない俺は、戸惑いながら言葉を置いた。
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