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限界を超えた力を引き出し、凄まじい快楽をもたらすこの毒を彼等はどんな手を使ってでも求めるだろう。
元来人と言う生き物は欲に忠実だ、一度知ってしまった快楽をそう易々と忘れる事など出来る筈がない。
リ「功を上げられない奴から苦しみもがいて死んで行き、それを見た者達はどんな手を使ってでも毒を求める…か。」
麻「働き蟻には蜜を、怠ける蟻には苦しみと痛みを、蜜を与えてさえ居れば彼等はこの国から離れては行かない…寧ろ離れられないのよ。」
だが悪魔でこれは毒だ、凄まじい快楽と力を与えるがその代償として命を削る…それでも彼等はこれを求める、自らの命を削ると知りながらも。
自らを破滅させる物と知りながらも、求めずには居られないのだ。
麻「じゃあ、話しは此処までにしましょうか。」
極彩色の蟲を懐にしまった麻子は徐に席を立つと部屋を後にしようとする。
リ「どこか行くのか?」
麻「蟲壺の回収も兼ねてスカウトにね。
あなたも来る?」
リ「いや、辞めておく。
今日中に片付けないといけない書類仕事がまだ山積みだからな。」
そう、私達は仮にも街一つを管理しているのだ、傭兵達との契約延長に各店舗からの売上報告、傭兵達へ降ろしている依頼の確認等々…書類仕事が次々と積み上がってしまっていてその殆どをリエットに任せている。
カ「僕は僕は?」
期待の眼差しを向けるカナルに麻子は一瞬ニッコリと笑うと部屋の扉をピシャリと閉じる。
暗に付いて来るなと断られたな…
カ「無言は酷いよ麻子…」
リ「まぁ、お前が付いて行くとトラブルが必ずと言って良い位発生するからな。」
うなだれるカナルの小さく小突き、それとなく自重するよう促すがあまり効果が無いようだ。
その証拠にカナルは不機嫌そうに俺の手を弾き、睨み返してくる。
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