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~数日後~
麻子はハザから教えられた酒場の前まで来ていたのだが…
麻「貸切…」
酒場の扉には数日間貸切の札が下がっており、扉は硬く閉ざされてしまって居るのだ。
ハザの話しではこの酒場に居ると言っていた…つまりこの酒場を貸し切ったのはハザ自身と思って良いのかしら?
コンコン…
試しにノックをしてみるが反応が無い…人が動いている気配はあるが一向に此方を迎え入れる様子もない…。
麻「違ってたらハザに八つ当たりでもするかしら。」
バキィ!!
業を煮やした麻子は扉を蹴り破ると言う暴挙に出るが店の中から文句の一つも帰って来ない…。
店の中からはグチャグチャと何かを咀嚼する不気味な音と慌ただしく厨房とホールを行き来する給仕が居るだけで麻子に文句を言おうとしている者は誰一人として居なかった。
麻「………………。」
麻子は蹴破った扉を強引に戻し、慌ただしく厨房へと戻ろうとした給仕を強引に捕まえる。
給「離して!!」
麻「その前に聞きたいのだけれど此処に[屍食]って呼ばれる人と待ち合わせをしているの。
数日前にそんな人は居なかった?」
一応、確認はしておくべきだろう。
もしかしたら今この店を貸し切って居る人間がハザではない可能性もあるのだし。
給「もしかして…ノウン様ですか…!?」
麻「え、えぇ、私がノウンだけど…」
その瞬間、給仕の目からポタリと大粒の涙が流れ、その場に崩れ落ちてしまう。
給「う、うぅ…良かったぁ…来なかったらどうなるかと…」
麻「どういう事か説明してもらえるかしら?」
?「それは僕から説明しようか?」
咀嚼音が止んだかと思うと若い男の声が背後から聞こえ、それを聞くやいなや給仕は悲鳴を上げながら厨房へと逃げてしまう。
?「酷いな…僕はただ食事をしていただけであんなに怯えるなんてね。」
麻「あなたが[屍食]…であってるかしら?」
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