310人が本棚に入れています
本棚に追加
振り返った先には[屍食]等と言う不気味な名前がこれ以上なく似合う男が口の端を吊り上げ笑っていた。
?「いかにも僕がお探しの[屍食]だ。
…しかしおかしいな…今回の呼び出しはハザからだと思って居たんだが…?」
麻「私がハザを介してあなたを呼んだのよ、随分狂った方法で後処理をするそうね?」
人の事を言えた義理ではないが今は棚に上げておこう。
[屍食]は一度ため息を吐くとテーブルへと戻り、ジョッキを一気に飲み干すとテーブルへ叩き付ける。
?「狂ってるだって?たかが屍肉を食らって何が悪い?
人なんて死ねば只の肉塊だ、それをどう処理しようと僕の勝手さ。」
麻「…別に否定するつもりも罵倒するつもりも毛頭ないわ。
私はあなたに興味がある、ただそれだけよ。」
[屍食]は一瞬眉をピクリと動かすとテーブルに着くよう向かい側の椅子を指差す。
?「興味…ねぇ…、君はそんな事の為にこの酒場を貸し切って僕を待たせてたのかい?」
麻「私じゃないわ、ハザが勝手にした事よ。」
席に着くと積み上げられた皿を押しのけ、意外そうな顔をした[屍食]と目が合う。
?「ハザさんが?それは意外だな…あの人は他人の為に何かするようなタイプとは程遠いと思って居たんだが…。」
麻「それには同意するけれどハザと私は契約関係にあるの、彼は金さえあれば紳士だしね」
嘘は言ってない、ハザ自身がそう公言しているのだからなんと言おうと勝手だろう。
?「確かに彼は金さえ絡めば紳士だが金が絡まなければ友人の一人も出来そうにないな。」
麻「フフフッ…確かにね、でも私は彼のそんな所を気に入っているのよ?
欲に正直な人間は与える物さえ与えて居れば裏切らないもの」
それにハザと冷子に接点は無い、そしてこれからもだ。
だから信頼出来る、金とあの指輪がある限りハザは裏切らないと確信しているから。
最初のコメントを投稿しよう!