穏蟲

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胸部を貫き、勝ち誇ったように口の端を吊り上げるが次の瞬間、その顔が苦悶の表情へと変わる。 ?「うぐっ…!?」 麻「殺った…とでも思った? 残念だけど異形はあなたの専売特許じゃないのよ…。」 バキバキと体内から蟲達の咀嚼音が響き、[屍食]ご自慢の舌を次から次へと貪って行く。 麻「人の身でありながら人なのか分からない…? 笑わせないでよ、世界には人でさえない異形は幾らだって居るわ、例えば私のような化け物もね。」 ?「クソッ!」 危険だと判断したのだろう、[屍食]は自らの舌を噛み千切り麻子から距離を取る。 麻「良い判断だわ、思い切りを良くしないと何が致命傷になるか分からないものね。」 切り離された舌の断面からは小さな蟲が大量に溢れ出し、[屍食]の判断が一瞬遅れて居れば体内から食い尽くされていただろう。 ?「なんて酷い味だ…体内に一体何を飼って…」 麻「酷い言い様じゃない、私の味はそんなに気に入らなかった?」 少し風通しの良くなった傷口から小さな触手がウネウネと這い出し、あっと言う間にすべて元通りにしてしまう。 ?「化け物め…!」 麻「お互い様よ、それで? まだやるのかしら?」 私好みの人材だと分かった今、これ以上殺し合う理由がない。 だが本人がまだやりたいと思うのなら話しは別だ、死ぬ一歩手前までなら問題は無いだろう。 ?「美味しくないと分かった時点でもうやり合う気は無いよ…」 麻「どこまでも食欲中心なのね、貴方。」 呆れるがこれはこれで面白い人材に間違いはないだろう。 ~閑話休題~ 麻「改めて本題に入るけれど、私は貴方を雇いたいと思って居るの。 仕事内容は貴方の専門である後処理と指定した人物の殺害、後は自由にしてもらって構わないわ。」
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