穏蟲

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あまり見慣れたくない光景ではあるが最早これが日常茶飯事らしく、日に一度はこんな光景を目にしている。 ノ「アハハ…」 ガ「おい、笑顔が引き吊ってるぞ。」 まぁ、何はともあれ一時間もしない内に目的地であるヴァルクルへ着いたのだが… 冷「ノウン!何してるの、早く早く~!」 ノ「れ、冷子?調査は…?」 何故か冷子とメリアに連れられ商業地区へと来ていた。 様々な店が建ち並ぶ通りを二人に手を引かれ、着せ替え人形よろしく次々と試着をさせられては次の店へと引きずられていた。 冷「大丈夫、調査はレリウス達に任せてあるから今日は思いっ切り楽しみましょ?」 メ「帰還祝い…♪」 ノ「いいのかな…」 仮にも国からの依頼、あまり蔑ろにするのは良くないと思うのだが…目の前で楽しそうに微笑む二人を見ると言い出し辛い事この上ない。 だが実際、調査をすると言ってもこうして街中に溶け込んで居た方が多くの情報が集まる、今こうして買い物を楽しんでいても――― ?「聞きました?今度は兵士の一人が消えたそうよ?」 ?「怖いわねぇ…確か消えたのは防壁の警備兵らしいじゃない、今月に入ってもう五人目よ?」 こうしてチラホラと噂が耳に入る、それにしても今月に入ってもう五人目…幾らなんでも消え過ぎだ、しかも重要な防壁の警備兵が消えて居ると言うのに大した対応策も打たれていない様子だ。 ノ「冷子、なんだか嫌な予感がします。 もう少し調査を本格的にした方が良いかも知れません…。」 冷「そう…みたいね、被害が報告された時よりペースが上がってる。 私はこの街の責任者に話しを聞いてくるわ、ノウンとメリアはレリウス達と合流して情報の整理と…念の為に出立の準備を。」 メ「了解…必要な物も揃えておく…」 到着してまだ数時間だが此処はすぐにでも離れた方が良い気がしてならないのだ、胸の奥がざわつくような…言い知れない不快感が粘着質のように張り付いて取れない。
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