穏蟲

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麻子side 人類に―――、その言葉に嘘偽りは無い。 私が望み、そして描く未来は血と闘争の果てにある。 屍の山を築き血の河を作り上げ、そしてようやく得られる世界が私の見ている物だ。 ?「人類に反旗を翻すつもりなのかい?」 麻「元より私は人類の敵よ、既に数千万も殺して居るのだし今更反旗を翻すも何もないわ。」 ピクリと眉を顰めた[屍食]は椅子の背もたれに全体重を預け天井を仰ぐ。 ?「それはつまり…今世間を賑わせている例の現象…あれは君の仕業だと…?」 麻「正確には私の眷属が…だけれど。 貴方も私を食べたなら私の中身には気付いて居るのでしょう?」 嫌と言うほど味わった筈だ、わざわざ舌を蟲達に食わせたのだから本人も気付いて居ない筈がない。 ?「あぁ…確かに君は人間じゃ無いのは良く分かったよ、それに二度と食べたく無いね、逆に食べられるのはもう勘弁だ。 それで?人外な君が人外な僕を雇いたいと…勿論引き受けるが……勝算は?」   ・・ 麻「今は、六割五分と言った所ね。」 数字を聞くなり[屍食]はニヤリと笑い、新たに運ばれてきたステーキを切り分け口へと運ぶ。   ・・ ?「今は――…か、だが充分過ぎる数字だ、いいだろう。 君に雇われよう、君が積み上げる屍の山…僕に見せてくれ!」 麻「契約成立ね、改めてよろしくね[屍食]。」 ?「僕の事はニケと呼んでくれ、仕事の通り名で呼ばれるのもあまり良い気はしないんだ。」 麻「そう、じゃあ行きましょうか。」 ニ「行くってどこに?」 麻「私達の国よ、ようこそならず者の集まりへ歓迎するわニケ。」
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