穏蟲

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?「おね…がい…クスリ…を…!!」 薬…?一体何が何なのか全く把握しきれない、今もしがみつき続けている女性も、先程から此方をゾッとする程感情のない顔で見つめる少年にも… 其処で私はようやく気付いたのだ、まるで貼り付けたような無表情で此方を見つめる少年に。 ノ「た、助けっ…!!」 だがその言葉が最後まで発される事は無く、凄まじい圧迫感がノウンの首を襲う。 ?「クスリ…クスリ、クスリクスリクスリクスリクスリクスリっ!!!」 ボタボタと涎を垂らし、目も左右バラバラのあらぬ方向へと不自然に動き回り、鳩尾から下の蟲達も呼応するように暴れ、女性は最早人の理性すら失い、魔物と同じになってしまっていた。 チカチカと点滅し始めた視界が完全に白く塗り潰されそうになった時、唐突に首への圧迫感が消え去り、ノウンは痛む喉を押さえその場に倒れ込んでしまう。 ?「その方の殺害はマスターの命により禁止されています、薬が欲しいのであれば任務を続けて下さい。」 ぼやける視界の先、先程まで此方を傍観していた少年の手には流体を連想させる特殊な刃物が握られており、足下にはバタバタと跳ね回る二本の腕が落ちていた。 ?「…ぁ…あ?…任務…任務…」女性は切り落とされた両腕を見つめ、器用に口で拾い上げると傷口どうしを合わせる。 すると気持ちの悪い音と共に腕が繋がり、女性は感覚を確かめるように二三回手を動かすと小さく溜め息を吐く。 ?「…また、発作が起きてたみたいね。」 ?「正気になられてなによりです、それより予定を少し早めなければなりません。 予定外の来客がありまして、このままではあまり好ましくない結果になってしまいます。」 先程までと打って変わって、凛とした表情で普通に話す女性にノウンは困惑していた。
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