第1章

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「……クイズ。『祝福の剣』ということはつまり、『祝われた装備』か」 「そうだけど、何か――あっ」  魔族にとっての『祝われた装備』は、人間でいうところの『呪われた装備』。  つまり、効果によって手放せない、というわけだ。 「――店主」  私はギロリと店主を睨みつけたが、店主は何を勘違いしたか。 「伝説の勇者の剣が新しい勇者様を選んだってわけか! こりゃやっぱり本物の勇者様に間違いない!」 「おい、店主!」 「よしみんな、今日は勇者様に出血大サービスだ!」 「話を聞け!」  商店街はたちまち大騒ぎになった。  魔王として恐れられていた頃とは違う、心からの歓迎。なんだこの罪悪感は。別に勇者をやる気がない私が悪いようではないか。  いや、悪くて結構なのだった。私は魔王なのだからな。  だが、とりあえず――。 「そうだな、クリームシチューの材料を頼む」
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