99人が本棚に入れています
本棚に追加
立川早苗が京都旅行を終え、家に帰ってから三日後、私は立川早苗の家に電話をかけた。
外では激しい雨が降り、私の部屋の窓ガラスを叩いていた。
私は電話のベルの音に耳を澄ませ、あの立川早苗が電話に出るその瞬間を待った。
「もしもし、立川ですが」
受話器越しに聞こえてきた私の憎むべき相手の声。
私はその声を聞いただけで、怒りで腸が煮えくり返り、怒鳴り声を出したくなった。
〈 今は冷静さを保たなくてはダメよ。
今はまだ、私の本性を出してはいけない。
それは憎い相手を罰するために。
それは私の未来のシナリオを守るために 〉
最初のコメントを投稿しよう!