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私が山村武士のあとをつけたのは、京都の清水寺。
私の憧れの山村武士は、立川早苗という女性とともに、清水寺の舞台に立ち、赤色や黄色に染まった美しい秋の景色を見つめていた。
私は山村武士のその姿を彼に気づかれないように、少し離れた場所から見ていた。
私の憧れの山村武士、私は彼だけをずっと思い続け、彼と結ばれたいと願っていた。
それなのに、私の思惑とは裏腹に、彼は立川早苗という女性に心を奪われている。
〈 許せない! 〉
私は肩を寄せあう二人の様子を見ながら、歯ぎしりをした。
〈 山村武士のとなりに立っているはずの女性は、立川早苗ではなくて、私のはずなのに! 〉
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