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私の憧れの人のとなりに立つあの女を殺してやりたい。
茶髪のショートカットが似合うかわいらしいあの顔を
切り刻んでメチャクチャにしてやりたい。
今すぐあの女の背後に回り込み、清水寺の舞台の上から突き落としてやりたい。
どうしてあの女は、私と違って幸せなのか?
きっと貧しさもみじめな思いも知らずに生きてきたあの女が、私は憎い。
私が精一杯、背伸びしても届かない幸せを
何の苦労もなしに手に入れているあの女が、私は憎い。
やっぱり神さまは、不公平で意地悪な存在なのだろうか?
私は夢を見て、生きていてはいけないのだろうか?
私がそんなことを考えているとき、私の見ている前で山村武士と立川早苗が見つめあい、笑っていた。
〈 許せない! 〉
私はそう思って、腸が煮えくり返った。
〈 彼のとなりに立つ女性は、立川早苗ではなくて、私のはずなのに! 〉
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