【その顔はあどけない】

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  「いちいちって? 訊かれてないのに話し始めるとか、言い訳がましくない?」  飛鳥のやたら重く戒めるような声にドキリとして、彼女の顔を見つめ返す。 「それは、本当にやましいことがある時でしょ。芹香の彼は、訊きたいのに訊けないでいるのかも知れないじゃない。付き合ってるなら、それ汲んであげるくらい」 “芹香の彼” “付き合ってる”  一瞬その言葉達がひどく魅惑的で、ホーッと酔ってしまいそうになった。 「え、だって別に訊きたくないから訊かないとかだったら……」 「それはそれで、彼がそういう人なんだってことが判る……?」 「そう、あたしが言いたいのはそんな感じのこと」 .
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