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だんだん声が小さくなっていく菜月のわき腹を、飛鳥の肘がうりうりとつついた。
「何。あいつ、あんな顔してやっぱり言うの、“好きだ”とかって」
「や、今のなし。聞かなかったことにして」
……なんだろう。
やっぱり、イライラする。
菜月のノロケを聞きながら、思い出すのは高校時代の制服姿の真田。
表情ひとつ変えずにあたしを振ったあの殺し屋みたいな顔の男が、菜月にはそういうこと言うんだなーと。
あれから、何年経ってるんだろう。
飛鳥だってそう。
男の人相手に、
一体何をして何を言ったら、
そんな一途に想ってもらえるの。
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