【視線の鼓動】

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  「やだ!」 「やだじゃない」 「や、だっ!」  歩き出そうとした秀秋が、またあたしを振り返った。  その眉間に刻まれた皺を見て、ビクリと身をすくめる。  秀秋は不機嫌を通り越して怒ってる。 「どうしてそう聞き分けがないの、芹香」 「だって、意味判んな……」  喚いて抗議しようとした  あたしの口唇を──  秀秋の口唇が塞いだ。 「ちょ……っ!」  こんなのでごまかされないんだから、と逃げようとすると、うなじと後頭部をがっちりと掴まれて固定される。  秀秋は、身長はそう高くないのに手ばっかり大きくて、触れられる度に男の人だなーって感動すらしていたことが思い出された。 .
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