175人が本棚に入れています
本棚に追加
……さっきも、そう。
火傷した手首を秀秋に握られても、全然怖くも何ともなかった。
冨永さんの時は、あんなに嫌だったのに。
むしろ、守ってくれる
手だって思って──
それで、情けないくらい
ボロボロに泣き出してしまった。
「ん、ひで、あき……」
ふ、と彼の息が鼻先にかかる。
頭を抱えられるようにされながら、眩暈がした。
秀秋のもう片方の手が顎にかかって、あたしの顔を上向かせる。
ただ塞ぐだけじゃなくて、彼の口唇は離すまいとするようにねっとりとまとわりついてきた。
.
最初のコメントを投稿しよう!