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また混乱し始めたあたしの様子を読み取り、秀秋はまばたきをしてから穏やかな口調で訊ねてくる。
小首を傾げたその童顔が、めちゃくちゃ可愛い。
「今のも、この間のアレも。全然意味判んないんだけど」
「この間のアレって?」
この前の、坂上の言葉が頭の後ろの方でエコーする。
それから、熱い吐息と一緒に注ぎ込まれた秀秋のささやきも。
“アイツ、好きなのはお前だと思うよ。前に、そう言ってた”
“芹香、好きだ”
「す、す、す……スキだとか、
口走ったじゃん!」
何度も言いかけてはやめを繰り返し、やっとの思いでそう口にした。
秀秋は一瞬目を見開いて、まじまじとあたしの目を真っすぐに見つめる。
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