【視線の鼓動】

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  「芹香、あれ聞こえてたの」 「耳元で言われれば、誰でも判るよ!」 「あんあん騒いでたから、もう判ってないのかと思ってた……」 「騒い……っ」  あの時晒した痴態を思い出し、かあっと顔が熱くなる。 「何っ、それ……っ。判ってないと思って、言ったの!?」 「ううん。ちゃんと言ったつもりだったけど、何も反応なかったからさ。ああ聞こえてないんだなぁと」 「そんなので納得して流さないでよ!」 「別に、納得しても流してもない」  不愉快だ、と言うように秀秋は眉根を寄せた。 「それに、口走ったわけじゃない。  そういう言い方されるのは、心外だよ」 .
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