【Side 秀秋:晴れない疑い】

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  「……もしかして、羨ましいの」 「うん、ちょっと」 「……」  酔っているからと言って、素直に頷かれても。  ……だったら言えよ、口ほどに目が言ってるんだから。  口でも俺のこと好きだって、言ってしまえばいいものを。  俺と違って、芹香が意地を張っているわけではないことは判っている。  ──だからこそ、  自分の中だけどんどんと  黒い膿が溜まっていってるような  気がして仕方がない。  とんだ堂々巡りだ。  今は芹香がこうして足しげく通ってくれるからいい。  俺の均衡は何とか保てている。  だがこんな関係に嫌気がさして、芹香がもっと優しくて使える男の方になびいたら──なんて考えると。 .
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