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友成さんは、午後からは愁子と打ち合わせがあるはずだ。
だから愁子とかなでは昼飯デートを企んでいたのだが。
まさかこんな場面に遭遇するだなんて、思ってもみなかった。
友成さんの顔がチラッと見えたのはどうでもいい。
問題は、こちらに背を向けている女が芹香だってことだ。
俺、なんで芹香なんか好きなんだろう。
けっこうグズグズ考え込むたちなくせに派手で、傷付きやすいくせに無頓着で、無防備で。
……好きなのかただ寂しいだけかの区別もつかないくせに、甘えたがりで。
面倒くさいことこの上ない、そんな女。
──なのに、
あんな遠くの席の背中だけで
判るくらい好きだとか。
本当、どうしようもない。
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