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生まれてこの方、幼なじみとして、15年。
なかなか成長しない幼なじみの背中を、高校入学と共に押し続けて見たんだけどさ……。
初めて見る姿に、少し驚いている。
●初めての●
「奏兄様、ど、どうしたらいいんでしょう!!!?」
帰りの時間になり、迎えに行くと教室で席についたまま顔を真っ赤にして百面相をしている幼なじみ。
目が合うと弾けたように俺にそう言った。
周りの視線が一気に集まる。いつもなら、人見知りの泣き虫で、そんなことしようものなら、この場から逃げ出しそうなものを。
とりあえず、その場は家についてからということで、おさまった。
そして、今。家について緊張の糸が切れた瑠璃は、真っ赤にした顔を両手でおさえたまま部屋の中を落ち着きなく歩き回る。
「瑠璃、少しは落ち着けよ」
「で、でも、奏兄様。私初めてお友達とお出かけする約束をするだなんて初めてで……いえ、お友達だなんて、まだそんなにお話もなにもしていないのにおこがましいですよね!!えっと、あの、うぅ~」
事をまとめると、今日の出来事。きっかけは俺の友達叶野ニコ。
三人で一緒に週末遊ぼうと誘われたんだが、さすが行動派。瑠璃に関しては、ニコが一年の教室に急襲をかけたわけで。
まさかそんな事態が自分に降りかかるとは思っていなかった瑠璃は、その勢いで圧されたまま頷いたものの、我に返った後自分が返事をしたことの大きさに驚いて俺が迎えに行くまでの有り様だったとか。
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