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おれはギターを抱えて音を確認した。そんなからかいにマメに反応する気はない。
「めずらしい。トキオが他人に興味を示すなんて」
おれのスルーにはお構いなしに、相変わらず好き勝手な事を言う。世界が違うヤツに羨望を抱くなんて、よくある事だろう?
力強い綺麗なフォームがふたたびおれの視線を奪った。教室では寡黙だけど、妙に存在感のある奴だと感じていた。そういう感情でいた時に、あんな姿を見せられてしまったら、否応なくその存在感の強さに納得させられてしまう。
なんとなく『敵わないな』……と。
おれの本能のどこかが呟いていた。
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