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「ああ、御堂じゃん」
アイツをよく知っていそうな口ぶりに視線を誘われて、おれは改めてヒロノブを見た。
ギターを抱えて座るおれの肩越しにアイツの姿を目で追いながら勝手に話し続けるヒロノブは、クラスが違う奴にも通じている結構な情報通で、ある意味尊敬に価する。ほとんどの物事に疎いおれにとっては、とりあえずありがたい存在だ。
「中学ん時同じクラスでさ、ずっと短距離やってたな」
アイツは健全に青春していたらしい。
確かにそんな感じだ。
「あーゆーのが好きなのか?」
冷やかすようなヒロノブの表情が気に入らない。
また妙な事を考えているようだ。
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