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教壇に据えられたドラムセットを中心に、スピーカーとアンプをセッティングしていたカズノリが、無言で立ち上がってから、全開で暴走するかのようなベースを奏で始めた。
突然、重い爆音が全身に叩きつけられて、おれの細胞が一気に覚醒した。身体の奥が熱で沸いてくる。相変わらずの、マイクロウエーブだ。
「始めるぞ」
指を止めたカズノリが、おれに向かって挑発的に笑って見せた。
頭に巻いた黒いフェイスタオル。
学生ズボンの上には軽音部特製Tシャツ、色は黒。
そんなカズノリは同じ年のプレイヤーの中では、たぶんトップクラスのベーシストだ。
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