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不気味で薄気味悪い男は、相変わらずニンマリとしながら、拾い上げたハンカチをヒョイとユウとヤヨイの前に出す。
ツンッと鼻につくような体臭で、ユウもヤヨイも鼻をつまみたくなった。しかし、この男の前でそのようなことをしたらどうなるか分かったものではない。なので、その体臭を必死で我慢した。
「こ………これ、お………落としたでしょ………」
クソッ!! 頭のなかでは、しっかり言えてるのに何でこんな小娘を前にしたら、急にどもっちまうんだよっ!!
その不気味で薄気味悪い男は、自分の中で憤る。だが、もちろん、それをユウとヤヨイには見せない。あくまで、爽やかに接する。爽やかな笑顔で。あくまで、自分の中ではそう映っていた。
「あ、ありがとうございます。」
ユウが、そのハンカチを取ったとき、その男の手とユウの手が触れた。
イヤッ!!
ユウは、あまりの気持ちの悪さに身の毛もよだつような思いをしたが、その男に悟られないように笑顔でハンカチを取った。
不気味で薄気味悪い男は、ドキッとした。
手が触れた瞬間に自分の中で、ある想いが確信に変わる。
そうか。そうか。
やっぱりな。やっぱりな。
この子は、俺のこと好きなんだ。そうに決まってる!! 手が触れたときのあの笑顔。あの嬉しそうな顔。そうとしか考えられない!!
男は、自分の中で高揚する。
ユウとヤヨイは、「じゃあ、ありがとうございました。私たちはこれで………」と言い、この場を去ろうとした。
しかし、その瞬間、ユウの手に何かの衝撃が加わる。
おそるおそる自分の手を見る。
ユウは真っ青になった。その不気味で薄気味悪い男は、ユウの右手をガシッと掴んでいたのである。
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