第1章

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神崎ライムは、親友の良と段数が違うときがあるという階段を探し始める。 ユウとヤヨイが話をしていたことを信じたわけではない。そして、それはライムが直接、聞いたわけでもないので当たり前と言えば当たり前の反応である。 ライムには同じクラスに佐織と美代という仲の良いクラスメートがいる。 良と同じ幼馴染みというわけではない。同じクラスになり、ひょんとしたことをきっかけに仲良くなったのである。 その佐織と美代から又聞きという形で、ユウとヤヨイが姿を消す直前に盛り上がっていたと思われる話を聞くことができたのである。 しかし、階段といっても至るところにある。そして、それは行きも帰りも14段の階段なら14段のまま、20段の階段なら20段のままである。 ライムと良は、登下校のとき、移動教室のとき、昼食時間のとき、とりあえず階段を上り下りするときに、階段の段数をくまなくチェックした。 そして、それを佐織と美代の二人にも手伝ってもらった。 だが、結果は変わらない。階段の段数が変わることはなかった。 それを目の当たりにして、「やっぱり」という感情と「馬鹿らしいことをした」という感情が交錯する。 それでも、やれることはやらないと後悔してしまう。 だからこそ、自分のできることならまんべんなく手を尽くしたかったのである。 それでも、正直なところ八方塞がりというしかない現状に直面するのである。
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