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「やっぱり、段数が変わるなんてことねーよ。違う場所の階段ならともかく、同じ場所の階段が上がるときは15段で、下りるときは14段でした。なんて、あるわけねーよ。もし、あったなら単なる数え間違いに決まってるよ。」
「分かったから、そう怒るなよ。明日の昼飯はおごるからさ。」
ライムは、良の機嫌をなだめるようにして言う。
すると、良は
「まぢ? さっすがイケメン君。太っ腹な生徒会長ですねー。」
と言い、ご満悦である。
「あっ、そうそう。俺だけにおごっちゃまずいんじゃねーの?」
良がニヤリと笑う。
ライムは、良が何を言いたいか分かっていた。手伝ってもらったのは、良だけではない。佐織と美代にも同じことを手伝ってもらっていたのである。
「分かってるよ。ちゃんと、佐織と美代にもおごるよ。」
「じゃあ、俺からライムがそう言っていたって、佐織ちゃんと美代ちゃんに言ってもいいかな?」
「その方がこっちも助かるよ。連絡よろしく。」
「ラジャー!」
良は、敬礼をするようにライムに片手を額に斜め45度で当てる。
ライムは、良という存在にとても助かっていた。ライムは、堅物な一面があり、洒落が効かないところが非常に多い。
それに引き換え、良はというと堅物ではなく、朗らかであり、洒落がとても通じるという一面がある。
つまり、ライムと良は、プラスとマイナスのように全くの真逆にいながら、それでこそ、引き合うかのようにやけに気が合った。
だからこそ、幼馴染みでありつつ、親友でもあるのだ。
そして、ときとして、良は、ライムが気づかないことを、気づかせてくれるときがある。
良にとっては、些細な発言かもしれないが、ライムにとって閃きを与えてくれることが度々あるのである。
まさに、今回もそうだった。
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