第1章

2/192
前へ
/192ページ
次へ
12月初旬、真冬のまっただ中。 怪談話や幽霊話は、夏の定番のはずなのに何故か長府学園では、この時期にそのような話が話題になっていた。 長府学園の高等部。特に二年生の間で。 二年生のあるクラスでの会話。 「ねえねえ、この学校の七不思議って知ってる?」 「七不思議? そんなのあるわけないじゃない。なに言ってんのよ。」 「それが、あるんだなー。」 「じゃあ、教えてよ。」 「じつはさ、いつも上がっている階段あるじゃん。」 「あるけど、それが?」 「じつは、階段の数が違うときがあるんだって!」 「はぁ? そんなのあるわけないじゃない。」 「あるみたいなのよ。いつもは15段の階段が14段のときにその階段を上がると………」 「上がると?」 「私たちの知らない別の世界に行くって!」 「まっさかぁ。そんなことあるわけないじゃない。」 そう。そんなことあるわけがないのである。 しかし、その話をしていた生徒二人が冬休みを間近に控えた一週間前に姿を消したのである。 二人は、どこに消えたのか? 単なる失踪なのか? それとも事件に巻き込まれたのか? 色々な憶測が飛び交ったが、その真相をいまはまだ確かめることができなかった。 いまはまだ………。
/192ページ

最初のコメントを投稿しよう!

199人が本棚に入れています
本棚に追加