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長府学園高等部二年神崎ライムは、生徒会長であり、眉目秀麗、頭も良く、運動神経も抜群、さらに長身でスラッとしている。
それゆえ、モテるのは当たり前なのだが、当の本人は、その面に関しては、興味がなく、さらにその点にだけは、勘がなかなか働かないらしい。
「よう、イケメン君、最近、佐織ちゃんとはどうよ?」
「なんだ、良か。」
話しかけてきたのは、幼馴染みで親友の良である。
「なんだはねぇだろ。で、どうよ? 佐織ちゃんとはよ?」
「特に何もないけど? 毎回、最初に話しかける台詞は何でいつもそれなんだ?」
「相変わらずイケメン君は、こういうとこだけ鈍いねー。まあ、いいけどさ。」
たが、当のライムは、良の話など上の空である。
まるで、良の言葉が右の耳から入ったかと思えば、左の耳から素通りするかのように出ている始末だ。
「ライム、何か考えごとでもしてるのか?」
「ああ。ちょっとな。」
ライムは、ついこの間、同級生二人が突如、姿を消したことが気になっていた。
事件性があるのか、それとも二人で計画を立てた上での失踪なのか、何も手がかりがない状態である。
もちろん、その二人と仲の良いメンバーでも、二人の失踪には心当たりがないとのことだ。
ただひとつだけ、二人に共通していることがあった。
警察は気に留めることはないが、その二人が姿を消す前日に、学園の七不思議のひとつ、「段数の違う階段」についての話が盛り上がっていたことである。
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