第1章

3/192
前へ
/192ページ
次へ
長府学園高等部二年神崎ライムは、生徒会長であり、眉目秀麗、頭も良く、運動神経も抜群、さらに長身でスラッとしている。 それゆえ、モテるのは当たり前なのだが、当の本人は、その面に関しては、興味がなく、さらにその点にだけは、勘がなかなか働かないらしい。 「よう、イケメン君、最近、佐織ちゃんとはどうよ?」 「なんだ、良か。」 話しかけてきたのは、幼馴染みで親友の良である。 「なんだはねぇだろ。で、どうよ? 佐織ちゃんとはよ?」 「特に何もないけど? 毎回、最初に話しかける台詞は何でいつもそれなんだ?」 「相変わらずイケメン君は、こういうとこだけ鈍いねー。まあ、いいけどさ。」 たが、当のライムは、良の話など上の空である。 まるで、良の言葉が右の耳から入ったかと思えば、左の耳から素通りするかのように出ている始末だ。 「ライム、何か考えごとでもしてるのか?」 「ああ。ちょっとな。」 ライムは、ついこの間、同級生二人が突如、姿を消したことが気になっていた。 事件性があるのか、それとも二人で計画を立てた上での失踪なのか、何も手がかりがない状態である。 もちろん、その二人と仲の良いメンバーでも、二人の失踪には心当たりがないとのことだ。 ただひとつだけ、二人に共通していることがあった。 警察は気に留めることはないが、その二人が姿を消す前日に、学園の七不思議のひとつ、「段数の違う階段」についての話が盛り上がっていたことである。
/192ページ

最初のコメントを投稿しよう!

199人が本棚に入れています
本棚に追加