第1章

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この七不思議のひとつがどこから涌いて出てきたのかは分からない。 おそらく、単なる幽霊話や怪談話から飛躍したものではないかと思われる。 しかし、科学で説明のつかないこともこの世には存在するため、あながち否定できないかもしれない。 いま、長府学園で噂になっているのは、姿を消した二人の生徒は、いつもと変わらぬ同じ階段を上がったはずなのに、じつは、それが段数の違うときに上がってしまったため、行ってはいけないところへ行ってしまったのではないかということだ。 それが、どこの階段なのかは分からない。学園七不思議のひとつであるから、この学園のどこかの階段なのかもしれない。 だが、噂が一人歩きをしているだけで、本当はこの学園とは違う階段なのかもしれないのだ。 いつもは、15段ある階段。しかし、同じ場所の同じ階段のはずなのに、14段のときがあると言われる階段。 そのときに階段を上がると、この世とは違う世界に誘(いざな)われるというー。 馬鹿馬鹿しいー。 ライムは、このような噂をそう思っていた。それなのに、その話をしていた生徒が突如、姿を消したことに違和感を覚えていた。 そんなはずはない。 そんな馬鹿馬鹿しいことがあるはずがない。 そう思いながらも、ライムはその七不思議のひとつとやらの真相を追い始めるのである。
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