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ユウとヤヨイが歩いていると、空にきれいな夕日が浮かんでいるのが目に入る。
「きれいな夕日だね。」
「うん。何かいいことありそう。」
二人は、いまからユウの家にお邪魔して遊ぶということでテンションが上がっていた。
なので、おしゃべりに夢中で一人の気味の悪い中年男性とすれ違ったことに気づきもしなかった。
おしゃべりに夢中でなかったら、もっと早く気付いたはずなのだが。
髭は伸ばし放題、薄汚い洋服、鼻をつまむほどの体臭。そして、焦点の合っていない瞳。
ユウとヤヨイは、それに気づくことなく通りすぎる。
二人は、楽しそうにおしゃべりに花を咲かせる。
その二人の背中を、薄気味悪い男はじっと見つめる。
背中を見つめながら、自分の唇を舌で一回転するようになめ回す。
心の中で、その男はこう思う。
今日の獲物、みーつけたっ♪
薄汚い男は、お世辞にも上手いとは言えないスキップをしながら、二人の背中を見つめ、後をつけるのである。
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