痛みは愛故に

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「激しく凌辱されるのがいいか、優しく嬲られるのがいいか、どっちがいい?」 首に突き立てたナイフを抜かずにぐりぐりと動かして傷口を広げつつ、意地悪くにやりと笑いながら聴く。 「兄さんは相変わらず意地が悪いです。分かってる癖に」 首からナイフを抜いて、背中に突き立てる。くぐもった声が死体の喉から漏れた。 首から噴き出した血が顔に着く。血が流れて色気の増す鎖骨に、舌を這わす。血を嚥下しつつ噛んだら、女みたいな声を出した。 「いいから言ってみろ。言わないとやめちゃうぞ?」 鎖骨から口を離して、ナイフから手を離してみる。十八歳のくせにぷぅっと頬を膨らませて、可愛い奴。 「激しく凌辱してください。いつものように、僕の中を激しく掻き乱してください」 「すぐに気絶しちゃ駄目だぞ?じゃないと途中でやめちゃうからな?」 耳に舌を這わしながら、また抜いて突き刺す。 「うぅぅ…あぅ……そんなこと言って、朦朧とした僕を殺すのが好きじゃないですか、兄さんは」 「よく分かってるじゃないか。朦朧としながら僕に殺されるお前は、最高に嫌らしくて可愛いよ」 「僕は、意地悪いのに色っぽく笑う兄さんが大好きですよ」 死体が目を閉じる。死体の唇を乱暴に吸い上げる。さぁ、本番だ。 「あぐ……あぁぁあぁ…。兄さ、にいさん……はあぁ……にいさん…」 僕の腕の中で喘ぐように悲鳴を上げながら、只管に兄さんと呼ぶ。 優しくナイフを脇腹に這わせながら、腸を握ったり潰したりしながら遊ぶ。 流石に血が足りなくなってきて朦朧とし始めてるけど、目はしっかり僕を映してる。 腹がぽっかり空いて胃やら肺やら膵臓やらが床に転がってても、自分の臓器に見向きもせず僕を見てくる。 「にいさん……今日は優しいんですね。まだそこまで朦朧としてないですよ」 「まぁ、たまにはな」 「にいさん、僕らはなぜ名前を忘れたんですかね?」 「さぁ、な。あんな奴らに与えられた名前なんて、思い出したくもなかったんだろ。それより、 楽しむ方が先だろう?」 「そうですね。一気に逝かせてくれたら嬉しいです」 「勿論、そのつもりだよ」
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