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「死体さーん、屍さーん、入っちゃいましたよ~……って、ぎいぃぃやあああああああああ!!」
朝っぱらから甲高い悲鳴で起こされる。なんだよもう。人が気持ちよく眠ってたっていうのに。
「なんですか飛鷹(ひだか)さん。朝っぱらから迷惑な悲鳴上げて……。ああ、死体の腸で遊んでたら臓器戻さずに寝たのか。飛鷹さんも血苦手なくせになんで入ったんですか?てか、ノックしてから入ってくださいよ」
「ノックしましたよ!散々呼びましたよ!起きてくれなかったから入ったんですよ!貴方達のやり方で愛し合うのは勝手にやってくれて結構ですけど、内臓ぶち撒けたままにするのは勘弁してください!」
「寝ちゃうのは仕方ないじゃないですか。そうだ、飛鷹さんが慣れればいいんですよ。いい加減慣れましょうよ。僕らの世話係なんですし慣れちゃってください。ほら、死体の心臓触ります?」
死体の腹の中に手を突っ込んで、心臓を引き摺り出す。その際に血管がぶちぶち千切れるいい感触がした。
「ほら、微かに脈打ってて可愛いと思いません?」
飛鷹さんに血がだばだば溢れる心臓を差し出す。面白いくらいに拒むから、からかってて飽きない。
「思いません!心臓を可愛いなんて思うことは未来永劫あり得ません!」
「兄さん……飛鷹さんが面白いのは分かりますけど、そろそろ僕の心臓戻してください。治るもんも治らないじゃないですか。それに、僕の心臓を触っていいのは兄さんだけですよ」
いつの間に起きたのか、じとっとした目で僕を見る。
「いいじゃんか。世話係なんだし、世話してる化物の心臓の重さくらい知っとかないと」
「死んでも触らないですからね!」
涙目になりながら、盾のつもりかごみ箱を構えながら部屋の隅でガタガタ震えてる飛鷹さん。
「はは、飛鷹さんって小動物みたいで苛めたくなりますよね。世話係じゃなかったら死体の次に可愛がってあげたいですよ」
「ひいぃぃぃぃ!私にそんな趣味ないですよ!それより博士が呼んでます!着替えて来てください!」
「なーんだー。飛鷹さん、僕に苛められに来たんじゃないんですか?口ではそう言いながらって展開を期待したんですけどねぇ?」
「そんなことある訳ないです!」
ムキになっちゃって。今年で二十八歳のくせに。
「ねぇ飛鷹さん」
「なんです?」
「僕らってやっぱり異常ですか?」
「……そうですね。異常ですよ」
「そうですか。安心しました」
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