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「てか、そろそろ出ないと2限に間に合わないぞ?」
悠里はえっという表情を浮かべ慌てて腕時計を見た。
こういう時は話をすり替えて別の話題に持っていくのがこいつの扱い方だ。
さすがに3年も一緒にいると扱いにも慣れて来る。
こっちの大学に進学が決まってここのアパートに引っ越してきた時にたまたま隣の悠里も引っ越してきて話してみたら同じ大学だったというわけだ。
同じ学科という事もあって今まで何だかんだでずっとつるんできた。
「ちょっと九条君、早く行かないと」
そう言って悠里はアパートの階段へと先に行ってしまった。
別に俺は悠里と付き合っている訳ではない。
最初は大学の奴らに悠里との仲をいろいろと聞かれたが今ではみんなも俺と悠里の仲がただのお隣さんだと理解している。
はやくっという悠里の声がアパートの下から聞こえた。
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